インターンで訪れた町との縁 移住して見つけた新しい働き方
目次
—東京から長野県辰野町に移住されたそうですね。辰野町との出会い、今のお仕事について教えてください。
インターンで出会った町に惚れ込んで
辰野町との出会いは、もともと学生時代に滞在型インターンとして訪れたのがきっかけです。地元の方々と一緒に、駅前の使われなくなった施設を利用して有効活用するというプロジェクトを立ち上げました。その時に出会った方々が、楽しそうに仕事をしている姿がとても印象的だったんです。地域のために動くことがそのまま仕事になる。仕事と生活が一体化しているところに魅力を感じました。
町の人々の人柄やおだやかな地域性に触れてすっかり辰野が好きになり、東京で就職して社会人になってからも、定期的に足を運んでいました。
当時のインターン仲間でもある夫とともにこちらに移住してからは、ゲストハウスを運営する傍ら、オンラインコミュニティのマネージャーの仕事もするなど、個人事業主としていくつかの仕事を請け負っています。東京での仕事もあるので時々上京していますが、今はほとんどこちらを拠点にしています。
ちなみに、辰野でのインターン仲間は私を含めて4人いたのですが、そのうち3人は現在こちらに住んでいるんですよ。
—東京にいた時はどのようなお仕事をされていたのですか?
〝何でも屋〟の総務で学んだこと
日本の地方と海外を繋げたいという思いがあったので、新卒では貿易関係の独立行政法人に入職しました。総務課に配属され、2年間さまざまな業務を担当しました。
表立って海外との交流をサポートする立場ではなかったのですが、調整役として幅広いタスクに向き合った経験は、今の地域やコミュニティの〝困りごとの相談役〟の仕事にそのまま生きていると思います。言わば〝何でも屋さん〟的な役割ですね(笑)。何かに困った方がとりあえず相談にくるというポジションは、性格的にも合っていると思います。
会社での仕事はやりがいを持って臨んでいたのですが、次第に、大きな組織の中で仕事をするよりも、小さな組織でフットワーク軽く仕事をする方が私らしく働けるのではないかと考えるようになり、ちょうどお誘いをいただいた辰野での仕事を受けることにしたんです。その頃、夫も仕事を辞め、辰野町での地域おこし協力隊を検討していたので、これを機に結婚して移住することにしました。

—出産前は二拠点生活もされていたそうですね。
戻れる場所があることが気持ちの余裕に
実は会社員時代に、共同運営の「ソーシャルバー」で日替わり店長をしていたので、その担当日に合わせて東京に戻っていました。
ソーシャルバーとは、複数のオーナーが日替わりで店に立つユニークな形態で、お客さん、そして店長がお店に立つことで居場所を感じられることを大切にしているお店です。
まだ移住したばかりで気持ちが定まらなかった頃、たまに戻る東京は、気軽に馴染みの人と繋がることができる場所でした。圧倒的に情報量が多いことでも安心感があり、「何かあれば戻れる場所がある」という心の拠点が持てたことは、当時、気持ちの余裕にもつながっていました。
2022年に出産し、こちらで子育てをする中で生活リズムも変わり、気づけば辰野にしっかりと根を張っていました。しかし、移住当初にしばらく東京と長野の二拠点生活を続けたことは、心のバランスをとる上でも良かったと思います。
—子育てをされる中で、仕事に対する考え方は変わりましたか?
〝私は何に命を使うのか〟
私は個人事業主なので、育児で休業しても仕事に戻れる保証がなく、出産直後は焦りがありました。
育児にしっかり向き合いたいと思う一方で、仕事に戻れなかったらどうしようと悩んだ日もあります。日々、いろんな考えが浮かんでは消えていく中、次第に芽生えてきたのは「この町で育つ娘に、いい環境を作ってあげたい」という思いです。
以前の私は、スキルを上げなければ、もっとできるようにならなければ−−−と、半ば強迫観念に似た焦りで仕事をしていた面がありますが、娘が生まれてからは、〝私は何に命を使うのか〟を、考えるようになりました。
ゲストハウスの立ち上げも、オンラインコミュニティの事業も、その思いから始めたものです。もちろん、初めての子育てでバタバタの毎日です。以前の私なら思いもしなかったことですが、〝人を頼ることも仕事の一つ〟という意識が芽生え、できないことは助けてもらいながら進めてきました。
私の場合は、何か一つのスキルを追求してプロフェッショナルになるべきという考えを捨てました。その時々の仕事に自分の思いがあり、それが地域の困りごとを解消したり、まわりの人の幸せにつながる。そんな働き方を選んでいます。

—地方移住に興味を持つ方も多くいらっしゃいます。ご自身の経験からアドバイスをお願いします。
移住したい理由をしっかり見据えて
私の場合は、辰野町の方々と一緒に過ごしたいという思いがあって移住を希望したわけですが、人それぞれ移住したい理由は違うと思うんです。自分のライフスタイルを追求したい方や、地域に貢献したい方、何かやりたい仕事があってその土地に暮らしたい方もいらっしゃるかもしれません。
魅力ある町はたくさんありますので、迷った時こそ、「なぜ移住したいのか」という原点に立ち返ってみるといいと思います。
「これがやりたいから」「こうありたいから」という芯の部分をしっかり見極めていれば、移住した後の暮らしも有意義なものになると思います。

マイフィロソフィ
『与楽苦抜』
=他者に楽を与え、苦を抜くという教え
1日のスケジュール
06:00
起床
身支度、朝食
子どもの保育園準備など
08:30
子どもを保育園へ
09:00
ゲストハウスの準備
掃除、布団の準備
事務作業など
12:00
昼食
13:00
オンラインミーティングほか
15:00
ゲストの出迎え
17:00
保育園へ迎えに
帰宅後に夕食作り
18:30
夕食
片付け、家事など
23:00
就寝
自宅の一部をゲストハウスとして使用しており、現在、月に3〜4組ほど迎えています。この日は予約が入っている日のスケジュールです。














































































