〝好き〟を仕事に!憧れの暮らしを実践

目次
—大阪市から和歌山県古座川町に移住されました。
温かい家族と田舎暮らしに憧れて
生まれも育ちも大阪なのですが、子どもの頃から田舎暮らしに憧れがありました。
理想は、ちびまる子ちゃん一家のようなあたたかい家族がいて、町の人みんなが知り合いで…という世界。幼少時、そんな自分の理想とは違う環境で育ったので、余計にそう思っていたのかもしれません。
田舎へ移住した人の暮らしを紹介するテレビ番組も好きでよく見ていました。
袋いっぱいの野菜を抱えて、ご近所さんに配り歩くおじさんの姿を見て、「こんな感じ!」と思ったのをよく憶えています。
大学は、大阪の自宅から和歌山まで通いましたが、当時は、まさか自分が将来ここに移住するとは想像もしていませんでした。
和歌山は、関西圏の人にとっては海がきれいなリゾート地で、遊びに出かける場所。
大学時代は、「卒業したら手堅く大企業に就職して働こう。結婚・出産のことも考えて、育休制度がしっかりした会社がいいな」と考えており、実際、卒業後は保険会社に就職し、営業の仕事に就きました。 テレビ番組の影響もあってか、田舎暮らしは定年後に夫婦でするものだと思い込んでいて、将来の楽しみにとっておくつもりでした。

—会社に勤めていた頃は、どんな暮らしでしたか?
好きなことを仕事にしてもいいんだ!
会社では、上司や同僚に恵まれ、充実した会社員生活を送りました。仕事はハードな面もありましたが、土日に友達とカフェに出かけたりと、都会の暮らしを満喫していました。
ところが、働き始めてしばらくした頃、「自分はこれでいいのだろうか?」と考えることが多くなったんです。
帰りに、みんなで仕事のグチをつまみにお酒を飲んで、その時はスカッとして楽しいのですが、家に帰ると途端に虚しくなったり。でも、その頃は、「辛抱して働いてこそ一人前だ」という根性論みたいなものが骨の髄まで染み付いていたので、仕事とはそういうものだと思っていたんです。
ある時、営業先の会社の社長さんと雑談中に、何気なく「将来は、田舎暮らしがしたいんです」と話したら、「あなたと同い年くらいで移住した人を知ってるよ」と言われ、びっくりしました。田舎暮らしは定年後にするものだと思い込んでいたので、「え?若くても田舎に住んでいいの⁈」という驚きです。
話は少し違いますが、ちょうどその頃、世間でユーチューバーと言われる方たちが認められはじめていて、「仕事って、楽しくてもいいの?」「好きなことを仕事にするのもアリかも⁈」と、私自身の価値観がガラッと変わった時期でもありました。まさに、目からウロコの心境です。
—それから和歌山県に移住されたんですね
町でゲストハウスをオープン
はい。まずは、その社長さんの知り合いを頼って、和歌山県古座川町に移住し、農業の手伝いをしました。手伝いながら、「ここでの暮らしは私に合っている」と確信し、次のステップとして自分で何か始めようと考えました。
住んでみて、古座川町の自然や、暮らしの豊かさをもっとたくさんの人に知ってほしいという思いが芽生えたところでした。
ちょうど、古民家をリノベーションしたゲストハウスが各地で話題になっていた頃で、ここ古座川町にゲストハウスを作って、町の魅力を伝える活動をしようと思い立ちました。
一つ屋根の下で共に食卓を囲むゲストハウスは、私が憧れたにぎやかで温かい家庭の雰囲気があり、人と人を繋ぐ空間として理想的だと思ったんです。
運よく、大きな改装をすることなく使えそうなコンディションの良い物件が見つかった頃、最初にアドバイスをくれた社長さんに、報告を兼ねて挨拶に行きました。
軌道に乗るまでは、アルバイトをしながら宿を運営していくつもりだと伝えたところ、なんと、大反対されてしまいます。
「アルバイトするなんて時間がもったいない! その時間をもっと有効に使うべきだ」と。
本当に縁に恵まれたと思うのですが、結局、その方が投資してくださることになり、私は宿の運営に専念できることになりました。投資の条件としては、株式会社という形にして責任を持って運営すること。予想外の展開になりましたが、2018年11月、無事にゲストハウスをオープンすることができました。

—ゲストハウスを経営してみて、よかったと思うことは?
大切な人を連れて来てくれる
当初は、女性一人で運営していることもあり、リスクを考えてSNSで積極的に宣伝することはしませんでした。最初は友人たちが来てくれたり、元の会社の同僚が来てくれたりと、口コミがメインです。私が女性ということで、主に20〜30代の同世代の女性たちが多かったですね。それぞれ、仕事や将来について模索している方も多く、食卓を囲んで語り合う時間は、楽しく有意義なものでした。
今は、最初にオープンした古座川町の古民家と、後に同じく和歌山県のすさみ町にオープンしたもう1軒とで、2軒の宿を経営しています。
地元の新聞やメディアで取り上げていただいたことをきっかけに、次第に訪れるゲストも増え、海外からのお客様も増えました。 リピーターになっていただいた方が、後に大切なパートナーやお子さんを連れて来てくださることもあります。そんな時はとてもうれしく、この仕事をしていてよかったと心から思います。

—同世代の女性たちと話す中で、〝仕事〟について思うことは?
それぞれの性格に合ったチャレンジで
ゲストハウスで、同世代の女性から仕事の悩みや将来の希望について聞いたりすることがありますが、その中で思うのは、転職や起業、移住にしても、賢明であるがゆえに、先々のいろんなリスクが見え過ぎてしまうんだなあ、ということです。
リスクが見えてしまうために、立ち止まる人もいれば、例えば、助成金などいろんなことを調べ尽くして、新しい世界に踏み切る方もいらっしゃいます。それぞれの性格に合ったチャレンジの仕方があるのだと思います。
私の場合は、自分の夢をまわりによく話していたかもしれません。共感していただいた方にアドバイスいただいたり、力を貸してもらえたことで夢を叶えることができました。
「こうしたい!」という希望や、チャレンジしたいことがあれば、一人で考えこまずにまわりの方に話してみるといいかもしれません。言葉にすることで、自分の希望がより明確になりますし、何かヒントがもらえることもありますから。

マイフィロソフィ
・距離感を大切に。
1日のスケジュール
08:00
起床
身じたくなど
09:00
仕事開始
メールチェック、事務作業
宿の清掃など
12:00
昼食
午後は、近所のカフェや大家さんなど
知り合いを訪ねる
14:30
チェックインの準備
夕方にかけてチェックイン業務
19:00
夕飯
宿のゲストと食事を共にすることも
帰宅後は、趣味のゲームやドラマ鑑賞
ストレッチなど
00:00
就寝
午後は、近所のカフェなど知り合いを訪ねて回ることが多く、これを「顔なじみ活動」と呼んでいます。営業活動を兼ねた楽しい時間です。