100パーセントじゃなくても大丈夫!自分らしい働き方を見つけるヒント
目次
—アンガーマネジメントに関する研修や講習会で講師をされています。アンガーマネジメントとは、どのようなものですか?
怒りと上手に付き合うという考え方
簡単に言いますと、“怒り”で後悔しないように、自分の感情と上手に付き合いましょうという考え方で、そのための心理教育、心理トレーニングのことです。
怒りで後悔するというのは、例えば、カッとなって感情まかせに言い過ぎてしまったり、逆に、怒りを抑えて溜め込んだ結果、後になって「あの時ちゃんと言えばよかった」とモヤモヤすることです。
怒ってはいけないのではなく、必要な場面では適切に表現し、怒る必要がないことには怒らないことを目標としています。これを聞くと、「怒っちゃいけないのだと思っていた」と、ホッとされる方も多いんですよ。 教職員や保健師さん、また、子育て中の保護者の方に向けて講演することもありますし、近年はハラスメント防止の機運が高まってきたこともあり、企業からの研修依頼も増えました。「ハラスメントは絶対ダメ。でも、具体的にどうすればいいのだろう?」と、皆さん悩まれることが多いようです。

—講師になる以前は、どのようなお仕事をされていたのでしょうか
感銘を受けたプロ講師の姿勢
実は、新卒で入社したのは百貨店でした。接客や販売、スタッフ管理などを経験し、ようやく仕事が楽しくなってきた3年目に会社が民事再生法の手続きに入りました。事実上の倒産です。現場の私たちは直前まで何も知らず、社内研修を受けていました。
研修を担当した講師は外部から招いた方でしたが、そのような状況の中で最後まで研修を続けてくださいました。最後は、その講師の方と同期の仲間とで一緒に涙を流しながら研修を終えた思い出があります。
単に仕事としてではなく、心で向き合ってくださった講師の姿は今でも心に残っており、その後“仕事とは何か”を考える上での指針となりました。
それからは、全く畑違いの求人広告会社に転職。企業研修の企画・運営に携わりました。中途採用とはいえ、右も左もわからない新卒状態でしたが、ここでも素晴らしい講師の方々との出会いがあり、そのプロフェッショナルな姿勢に大いに刺激を受けました。現在、日本アンガーマネジメント協会の代表を務める戸田久実さんと出会ったのもこの頃です。
出産を機に退職し、ほどなくして人材支援や女性のキャリア支援を行う会社に入りましたが、仕事を続ける中で、次第に講師になって人材育成に携わりたいという思いが強くなり、兼ねてより興味のあったアンガーマネジメントを学び直すことに。協会で講座を受け、講師として独立するに至りました。
—一度は挫折も経験されたと伺いました。どのような状況だったのでしょうか?
頭では理解していても…
子どもがまだ小さかった頃、初めてアンガーマネジメントを学んだときのことです。
当時は育児に専念していましたが、子どもを抱っこして地域で開催されるイベントや講座によく参加していました。じっとしていられない性格なんです(笑)。
そのうち、その講座を企画する側に回り、ママ向けの講座として、日本アンガーマネジメント協会の戸田久実さんに講演を依頼しました。戸田さんには前職でお世話になっており、そのお人柄と事例の豊富さや説得力のある研修が印象的で、ぜひもう一度お話を聞きたいと思っていたんです。そこで初めてアンガーマネジメントと出会い、深い感銘を受けました。私自身、母親になったことで、これまでに経験のない自分の感情に戸惑いを感じることが多くなっていたからかもしれません。すぐに、「まずは子どもにアンガーマネジメントを伝えられるキッズインストラクター養成講座を受けよう!」と思い立ちました。
しかし、この志は、ほどなくしてしぼんでしまいます。
週末、夫に子どもを任せて講座に出かけ、一日かけて怒りとは何かを学び、感情との向き合い方を頭に叩き込みました。学びを得て頭がスッキリし、やる気に満ちて意気揚々と帰ったのですが、家のドアを開けてすぐ、なんと私は、夫と娘に怒り散らしていたんです…。
そこには、散らかり放題の部屋、不機嫌な娘、困り果てた夫という見たくなかった現実の光景がありました。とたんにイライラが湧き上がり、感情に任せて怒ってしまったというわけです。
頭で理解したことと、自分の行動のギャップにショックを受け、「私には無理だ…」と思いました。その後、講師になるために学びを再開したのはしばらく経ってからです。
頭で理解しただけで、できるわけではないことを実感しました。アンガーマネジメントは理論の理解だけではなく、“実践の積み重ね”だということを身をもって体験したのです。
—学びは一旦見送りとなったのですね。その後、人材支援の会社に入られましたが、子育てが大変だった時期、家庭と仕事のバランスはどのように取られていましたか?
リモートワークで試行錯誤
衝撃の挫折体験からほどなくして新しい会社に入り、そこで仕事に従事した約9年間は、ほぼリモートワークでした。今では一般的になったリモートワークですが、当時はまだ珍しかったと思います。
自宅での仕事は何かと助かる反面、子どもが小さいうちは、子育てと仕事の時間を思うように分けることができず、難しいこともありました。
当時、試行錯誤してたどり着いたのは、“仕事の時間を子どもに伝えて選んでもらう”ことです。「ママはこれから仕事をするけど、①5時間仕事して1時間一緒に遊ぶ ②2時間仕事して1時間遊んで、また3時間仕事する。さて、どっちがいい?」と子どもに選んでもらいます。すると、子どもは自分で選んだことだからしっかり守ろうとするんです。そのうち、成長するにつれて、「この時間ママは仕事だ」と理解できるようになります。
仕事がら、新米ママから相談を受けることも多かったので、在宅仕事に対する不安を口にする方に対しては「子どもが小さいうちは大変です。でも、そのうちお互いに慣れて上手くできるものですよ」と、実体験からアバイスすることができました。
在宅での仕事は大変な面もありましたが、子育てと仕事を両立できたのはよかったと思っています。PTAの活動もしっかりやりましたから。後に、娘から「ママが役員をやってくれて嬉しかった」と言われたときは、頑張ってよかったとホッとしたものです。
—ご自身のチャレンジ経験も踏まえ、新しいことに一歩踏みだすコツや考え方など、仕事について思うことを教えください
100パーセントじゃなくても大丈夫!
前職では、さまざまな事情から転職を考える方や、新しい仕事にチャレンジしたいという方と多く接してきました。私自身の経験も踏まえて思うのは、チャレンジしたいと思っても、実際には一歩を踏み出さない方がたくさんいらっしゃるということです。
例えば、ある求人広告に興味を持ったとき、そこに書かれた要件をすべて満たしていないからと諦めたことはありませんか? 「私のキャリアでは無理だ」「〇〇のスキルがない」「迷惑をかけるかも」と、マイナス面を考えて躊躇したり。
実は、採用する側を経験してきた立場で言うと、要件を100パーセント満たしていなくても、採用に至ることはとても多いんですよ。求人欄には、採用する側の“理想の”スキルが書いてありますが、実際にはその方の人柄ややる気、会社との相性も重視されます。スキルは後から身につけられますが、相性はあまり変わるものではないですから。たとえ、示されたスキルのうち7割くらいしか満たしていなくても、「あとは仕事をしながら身につけます!」という気持ちで挑んでみましょう。
私自身、臆病なところがあるので自分に言い聞かせているのですが、行動を起こさなければ、傷つくことがない代わりに得るものもありません。未来のチャンスも逃してしまいます。弱気になって悩んだあとは、「さあ、では、どうしたらできるかな?」と、気持ちを切り替えて、考えることから始めてみましょう。

マイフィロソフィ
『まずは一歩踏み出そう!
そして、どうしたら実現できるかを考えよう!』
1日のスケジュール
05:00
起床
1日のスケジュールの確認など
06:00
家事
朝食作り、家族を送り出す
07:00
ウォーキング
08:00
仕事開始
研修の準備
研修実施後は内容の振り返り
人材採用の仕事
18:00
夕食の準備開始
19:00
夕食
片付け、入浴、洗濯など
21:30
娘を迎えに塾へ行くことも
帰宅後は自分の時間
23:00
就寝
気持ちを切り替えたいときや思考を整えたいときは、一人でカフェに行くことも。休日には読書やウィンドウショッピング、サイクリングや家族でのドライブを楽しんでいます。



























































