家族の状況と自分が実現したいこと どちらも叶う仕事スタイルに
目次
—大学卒業後、建設コンサルタントの会社にお勤めでした。入社のきっかけは? また、どのようなお仕事をされてきましたか?
頼まれた仕事は何でも引き受けた会社員時代
大学卒業後、最初はアルバイトとして入り、後に社員登用試験を受けて正社員になりました。家から近かったので通いやすいと考えたのがきっかけですが、思いがけず、そこで長く勤めることになります。
大学は美術大学だったので、卒業後は作家活動に入る人もいます。好きな絵を描き続けたいという気持ちもあったのですが、画家として成功するのはほんのひと握り。在学中に自分より絵が上手い人がたくさんいるという現実を知ってしまい、自分には無理だろうなと感じていました。また、個性あふれる自由な人たちに囲まれた学生時代だったので、その反動からか、「まずは社会に出て、一般常識を身につけるべきかもしれない」という考えもありました。
アルバイト時代は、事務仕事から雑用まで頼まれたことは何でも引き受けました。実際、仕事はどんなことも面白く、まったく苦になりませんでした。
大学では、常識にとらわれない独自の表現がよしとされ、正解もない、終わりもない創作活動に挑んでいたわけですが、会社では、託された仕事を手順に沿って進めればちゃんと終わりがくる。それがとても気持ち良かったんです。
理系の方特有の、ゴールに向かって理路整然と思考を積み上げていく考え方もとても興味深く、私の目にはクリエイティブに映りました。何でも面白がって取り組むうちに、あっという間に月日が経っていたという感覚です。

—会社では、仕事の一つとしてイラストも担当されたそうですね
どんな人にも〝伝わる〟イラストを意識
ある時、「そういえば、あいかわさんって絵が描ける人だったよね」と声をかけられ、社内でイラストの仕事を頼まれるようになりました。専門的なことを一般の方に分かりやすいように、図解やイラストにする仕事が必要だったのです。
それまで、純粋に自分の表現を追求しながら創作してきた私は、誰かの依頼に応えて、その意図に沿うような絵を描くのは初めてでした。慣れなくて、最初は戸惑うことも多かったですね。
でも、考えてみたらその専門的なことは私にもよく分かりません。自分が分からないからこそ、分からない人の目線で考えることが出来ました。
何かを伝えたい人とそれを受ける人の間に立ち、絵で通訳をするような、老若男女どんな人にも〝伝わる〟イラストを描くという意識が鍛えられました。このスキルはフリーになった今も活きていると思います。
—その後、あることをきっかけに心境の変化が訪れたとか
やりたいことを後回しにせず、ちゃんとやりたい
会社員時代に体験した東日本大震災です。
実は、勤めていた会社は防災を専門とする会社だったので、防災に関わってきた人間としても大きな衝撃を受けました。事前にこれだけ対策を打っていても、予想を上回ることが起こり、多くの命が失われる。その現実に打ちのめされましたし、命には終わりがあって、それはいつなのか誰にも予想ができないという当たり前のことにも気付かされました。
大きなショックを受けましたが、少し落ち着いてこれからの自分を考えたとき、「やりたいことを後回しにせずちゃんとやろう」と思い、自分の作品を描こうと決めたんです。
すぐにでも始めようと、毎日一つイラストを描いてネットに投稿していく〝1日1投稿〟を始めました。これは今でもずっと続けていて、今年で14年目になります。

—会社を辞めようと思ったきっかけは? また、そのときに考えたことを教えてください
家族の状況に合わせた仕事スタイルに
震災後しばらくして息子が生まれ、産休を経て会社に復帰したのですが、いざ復帰して時短勤務から始めてみると、なかなか思うようにいかないことが身を持って分かったんです。私が担当していた仕事の性質上、自分にしかできない仕事が多く、時短勤務の中ではとても終えることができませんでした。体力的にもきつかったですね。しばらく勤めましたが、中途半端に仕事をするより、子どもとの時間を大切にしながら働く道を探ろうと決めて退社しました。
会社を辞めてからは、変わらず1日1投稿を続けながら、フリーランスのイラストレーターとして独立しました。自分がやりたいこと、自分にできること、そして家族の状況に合わせて柔軟に働くスタイルを考えたらこれが最良だと考えたんです。
その後、子どもの希望もあり、長野の小学校に入るために子どもと二人で東京を離れたのですが、その際にも、働く場所を選ばないフリーランスという仕事スタイルだったことで引っ越しの決断が出来ました。
以来、長野と東京の二拠点生活を送っていますが、仕事に関して不便だと思ったことはなく、むしろ自然豊かな環境と都会生活の両方から多くのインスピレーションを得られるので、仕事にもいい影響を受けています。

—仕事をする上で心がけていること、時間の使い方で工夫していることがあれば教えてください
毎日時間を決めて続けること
仕事では、会社員時代と同じく、初めての仕事は断らないようにしています。あらかじめ自分でできる範囲を決めてしまうと、自分の可能性を広げるチャンスを逃してしまうと思うんです。
同じ理由で、知らないことや、できないことを素直に認めて向き合うことも大切にしています。以前、ずっと苦手意識があったデジタルツールを使ったイラストを独学で習得したことがありました。今はその経験を活かしてデジタルイラストの講師もしています。自分が苦労したところは、きっと他の人にとっても難しいポイントだろうと思い、自分目線でカリキュラムを組んだところ大勢の方が受講してくださいました。経験してきたことが人の役に立ち、こうして仕事にもつながるんですね。
また、時間の使い方で工夫していることといえば、仕事をする時間を毎日決めていることです。最近は1日1投稿に加えて、1日3回のお絵描きライブ配信をしているのですが、毎日何時から30分間はこの仕事、と決めることで気持ちも切り替わりますし、子どもにも「この時間は仕事だよ」と言うとすぐに理解してくれます。
特に育児をしていると、日常生活の中で自分の時間を作るのはなかなか難しいと思いますが、この方法は仕事はもちろん、やりたいことがあるのに時間が持てないという方にもおすすめです。ぜひ、1日10分だけでも時間を決めて、毎日続けてみてください。

マイフィロソフィ
『初めての仕事は断らない』
仕事の幅を広げるチャンスを逃さない
1日のスケジュール
07:00
起床
身支度や家事、子どもの登校準備
07:30
メルマガを配信
08:00
子どもをバス停まで送る
09:00
お絵描きライブ配信①
その後、イラスト仕事、オンラインレッスンなど
12:00
昼食
13:00
仕事再開
16:00
子どものお迎え
帰宅後、夕食作りなど
21:00
子ども就寝
22:00
お絵描きライブ配信②
22:30
お絵描きライブ配信③
23:00
メルマガ執筆
0:00
就寝
毎日時間を決めることで、その時間になったら気持ちが切り替わります。絵を描くことが仕事であり趣味でもあるので、他の仕事が息抜きになるという現象も(笑)。














































































