場所や定時に縛られない働き方のいいところ

目次
—以前は長く企業にお勤めでした。どのようなお仕事をされてきましたか?
マーケティングに興味を持ち、異動希望を出し続け
新卒時は食品メーカーに入社し、輸入食材を扱う部署で事務を担当していました。
ある時、新製品の新規事業立ち上げを担当することになり、そこでノベルティの企画など販売促進を手がけるうちに、PRやマーケティングに興味を持ったんです。
商品の魅力を探り、それを消費者に伝えるための企画を練る。自分のアイデアが売上に反映される過程にワクワクしました。
本格的に取り組みたいと考えて異動希望を出し続け、念願のマーケティング部に異動できたのは、入社して12年目のことです。
マーケティングに関しては、ビジネス本を読んだり、セミナーに通ったりと一から学びましたが、中でも印象に残っているのは、マーケティングの専門家で中途入社されていた副部長との雑談です。
時々私のデスクにふらっとやってきては、「ねえ、あの小説読んだ?」と、仕事に直接関係のない、まさしく雑談をするのですが、「あの小説って、こういう視点で書かれているんだけど、それってマーケティングに通じる視点だよね」など、身近な事柄を取り上げてマーケティングの考え方を分かりやすく伝えてくれるんです。
その頃話したことは、今でも時折ふと思い出すほど、生きた感覚として私の身になっていると感じます。
—担当した仕事で印象に残っていることは?
社内横断プロジェクトでリーダーを経験
当時はインターネットが一般に普及し始め、その流れで各企業もホームページの制作に力を入れていました。ふと我が社のホームページを見た時、「これはダサい。何とかしなければ…」と思い、上司にホームページを刷新する必要性を訴えたんです。
しばらく後に訴えが認められ、ホームページをリニューアルする〝社内横断プロジェクト〟のリーダーとして、チームの立ち上げから関わることになりました。
PRツールとなるホームページを作るにあたり、チーム全員で最初に話し合ったのは、「この会社って、どんな会社?」という、自社のコンセプトです。
会社の魅力や自分たちの使命は、そこで働く私たち社員が一番知っている。
何より、私自身自分の会社が大好きだったので、核となるコンセプトからコンテンツ作りまで、外部に頼らず、自分たちで考えたいという強い思いがありました。
作り上げたホームページは、ありがたいことに各方面から好評をいただき、私にとっても仕事の面白さをあらためて実感した印象深いプロジェクトとなりました。この時の経験で得たことは、今でも仕事をする上でのルーツとなっています。
プロジェクトをやり終えたとき、この会社でやるべきことが一つ終わったと思いました。次なる目標を見出せず、その後退職を考えることになります。
思えば、この頃は若さゆえに尖っていて、少し生意気な方だったかもしれません(笑)。多くの方と同じように、常に順風満帆というわけではなく、組織人として仕事をすることの難しさを感じたこともありましたが、人に恵まれて多くのことを学びましたし、今でも大好きな会社です。

—退職後、しばらく空白の期間を持たれたとか
父の一言で〝無職〟を選び
会社を辞めた後は、普通に次の仕事を探そうと思っていたんです。
ところが、そう父に話すと「え? また働くの? 今まで頑張ったんだから、少し休んだら?」と言われ、そういう選択肢もあるのかと思い、しばらく無職で過ごすことにしました。
24時間自由で開放感に浸る日々…の、はずでしたが、なんと体に不調を感じることが続きました。多忙な日々が、自分でも気づかないうちに心身に無理をかけていたのです。今思えば、父は思いつきで無職を勧めたのではなく、そんな私の体調の変化に気づいていたのかもしれません。
約2年半ほど過ごし、体調も戻って次の仕事を考え始めた頃、古巣の会社から声をかけていただき、産休を取る後輩の代わりとして、またしばらく勤めることになりました。
—久しぶりに仕事に復帰して、いかがでしたか?
仕事の面白さに再び目覚め…
リハビリのつもりで週に3日の契約社員として仕事をしましたが、たまたま目についた赤字事業が気になり、テコ入れして黒字化したことですっかりまた仕事の楽しさに目覚めたり(笑)。興味を持つと全力で取り組んでしまうんですよね。
そんな姿を見てか、再び正社員にならないかという話をいただきましたが、その時には、環境を変えて一から仕事に取り組みたいという思いが湧いてきて、古巣に戻る話は断りました。
その後、食品会社のマーケティング部門に転職します。前職よりは規模の小さい会社で、マーケティングの人員も少なく、イベント企画から広報、社内報まで、なんでもござれの仕事三昧。自分なりに一所懸命に勤め、社運をかけたプロジェクトで結果を出したりもしましたが、同時に、組織の中で気持ちがすり減っていく感覚をおぼえ、数年ののち退職しました。
お世話になった方々に挨拶まわりをする中で、「今までよくサラリーマンしてましたね。フリーで立派にやっていけますよ」と言ってくださった方がいて、その言葉がきっかけとなりフリーの道を選ぶことに。正直なところ、次の転職先を考えたとき、再び組織に属することが少し怖くもなっていたんです。
—今、フリーランスになって思うことは?
ひまな時期は焦らず休もう!
会社員とフリーランスで一番違うのは、定収入がなくなり、収入にムラがあるということです。最初の頃はそれに慣れず、「毎月同じくらい稼がなければ!」と、ひまな時間ができるたびに焦っていました。しかし、近頃は考え方が変わってきました。
忙しい時は大変なんだから、ひまな時は休もう。
若い時は多少無茶をしてもすぐにリカバリーできる体力がありましたが、年を重ねた今は、このくらいのリズムが、人間らしく生きるために必要だとさえ思います。
日々の暮らしの中で、体調がすぐれないこともありますよね。そんな時は体を休めた方がいいし、フリーでいる今は、誰に気兼ねするでもなくそれができる環境があります。
最近は、以前と比べると在宅勤務など多様な働き方が浸透してきましたが、場所や定時に縛られない働き方を取り入れるのは、仕事のパフォーマンスを上げることにもつながると思いますし、多くのメリットを感じます。
今は、急速なデジタル化や価値観の変化など、ダイナミックに時代が変化している時期。新たな価値観が求められていることを実感します。変化する時代に合わせて、私自身柔軟な考え方を身につけていたいと、日々、チャレンジを続けている最中です。

マイフィロソフィ
・時の流れに身を任せ
1日のスケジュール
08:00
起床
身支度、ストレッチ、家事など
09:30
仕事開始
スケジュールの確認、メール返信等
10:00
オンラインミーティング
11:00
昼食
12:00
コワーキングスペースに移動
資料作り等
18:00
帰宅
オンライン勉強会等
01:00
就寝
最近は、仕事のほかに日替わり店長のソーシャルバーで、月に一度店長をしています。「Bar みなとのようこ」という名で(笑)、世代を超えた交流が生まれる場所づくりを心がけています。