それぞれのゴールに向けて 楽しく続く日本語レッスンを
目次
—現在、日本語講師として活動していらっしゃいます。どのようなお仕事ですか?
世界中の生徒とつながるオンラインレッスン
私の場合は、主にオンラインで世界中の生徒に教えています。日本語を教えるには、日本語学校の教師になる道もあるのですが、私は海外のいろいろな場所で暮らす学習者と向き合えるオンラインレッスンを選びました。現在は週に5日、小学生から大人までさまざまな年代、そしてさまざまな地域の方に教えています。
もう一つ力を入れて活動しているのは、ブログを通しての情報発信です。昨今、世界中で日本語を学びたいという方が増えており、それに伴いオンラインでの日本語講師の数も増え続けています。しかし、オンラインでは特別な資格が必須ではないため、誰でも容易に参入できる一方で、スキルやノウハウに乏しい講師も少なくなく、その質には問題があると感じています。
中には、“すきま時間で楽に稼げますよ”という謳い文句に釣られて、怪しい情報商材に大金を注ぎ込んでしまう方も多いんですよ。こうした現状を危惧してブログで注意喚起をしたり、オンライン講座を開設して日本語講師を目指す方に教える技術やコツをレクチャーしています。
—以前はどのようなお仕事をしていらっしゃいましたか?
SEから英語塾の講師へ転職
もともとは、学習教材を作る会社でSE(システムエンジニア)として12年間働いていました。やりがいのある仕事で、休暇制度など福利厚生面も充実しており、3人の子どもを育てながら仕事を続けることができました。ところが、あるとき突然、会社のトップが交代してしまったんです。新しいトップのもと、示された経営方針と自身の価値観が合わず、泣く泣く退職を選びました。今思えば、これが最初のターニングポイントですね。
その後ハローワークで、もともと興味のあった英語の仕事に就きたいと相談したところ、職業訓練として通訳学校を紹介され3ヶ月半通いました。
ところが、勉強しながらも、「自分より英語が上手な人はたくさんいるし…」と、弱気になったり、また、待遇面を考えたらSEの仕事も捨てがたいと思ったりと、考えが揺れに揺れていました。でも、何かしら“教える”ことに興味があり、同時期に「日本語教師養成講座」にも通いました。先が見えず焦りを感じつつも、自分がどの道に進むべきかわからない、そんな日々でした。
あるとき、カナダ人の友人にそんな自分の気持ちを伝えたら、「好きなことを仕事にできるチャンスなのに、なぜやらないの?」と言われたんです。「神様がくれたチャンスなのに」と。文化の違いで、仕事に対する考え方も違うのだと思いを巡らせた一方で、自分自身が凝り固まった考えに囚われていたことにも気がつきました。
確かに、好きなことを仕事にできたら幸せです。
時を同じくして、通訳学校の先生に「英語が好きなら、ブレたらダメですよ」と言われたことも、胸にずしんと響きました。以降、英語の仕事に就くのだというしっかりとした意志が芽生え、続けて児童英語のインストラクター講座も受講、J-SHINE(小学校英語教師指導者資格)を取得し、児童向け英語塾の講師になりました。
塾では、母の介護で退職するまでの約8年間を過ごしました。その間、講師から塾長になり、教室を任されるまでに。学習の現場で子どもたちの学びをサポートした経験は、現在オンラインで子どもたちに日本語を教える上で大きく役立っています。

—英語講師から日本語講師に転身されたきっかけを教えてください
介護の空き時間にできる仕事を
実は塾に勤務しながら、週末に広島の実家に通って母の介護をする生活を続けていました。そのうち母の認知症が進行し、さらに大腿骨骨折で歩行ができなくなったため、通いながらの介護では立ち行かなくなってしまい、私が実家に引っ越して介護をすることに。同時期に、家庭では夫とのすれ違いが重なり、離婚も経験するという苦しい時期でした。
広島では、母の介護をしながら近所のホームセンターにパートで勤めました。常に動いていないと不安になってしまうタイプなんです。
そうこうするうちに、コロナ禍で母が要介護5となり、介護医療院へ入院することに。長年の介護から解放されたと同時に、ひどい喪失感に陥ってしまったんです。これではだめだ、何かしなければと思い、「日本語教育能力検定試験」の勉強を始めました。10ヶ月間徹底的に自学したのち、無事に合格することができました。
それから3ヶ月ほどの準備期間を経て、日本語講師のオンラインプラットフォームに登録。登録の翌日からオファーがきて、日本語講師が求められていることを実感したものです。家で空き時間にできるのが良いと思って始めたのですが、日本語需要の高まりを肌で感じ、また、オンラインで世界中の生徒に教える楽しさに目覚めたことで、今も続いています。
実は日本語講師をはじめてから再婚したのですが、夫は元々生徒だったんです。そんな幸せな出会いにも恵まれました。

—仕事をする上で大切にしていることは何でしょうか?
手をとって伴走する存在でありたい
私は、自身のことを“日本語教師”ではなく、“日本語講師”と名乗っています。先に立って教え導く“教師”ではなく、学ぶ人の手をとって伴走する“講師”でありたいからです。日本語学校で学ぶ生徒さんは、仕事のためや、将来のために学ぶ方がほとんどですが、オンラインで日本語を学ぶ方は、日本のアニメが好きな方や、旅行をきっかけに日本に興味を持った方など、趣味として学習している方がほとんどです。そのような学びの場では、楽しいことが学びを続けるモチベーションにつながります。私は、レッスンはエンターテインメントでもあると考えているんです。
インターネットで情報があふれている今、語学を学ぼうと思えば、動画配信などでいくらでも独学が可能です。そんな中、わざわざ時間を作って、お金を払って学びたいという方々だからこそ、真摯に向き合い、確実にそれぞれのゴールへと導きたい。学習する方のモチベーションをゴールまで保つには、講師のスキルとコツ、そして熱意が必須なんです。
—育児や介護でキャリアが中断されることに悩む方も多くいらっしゃいます。仕事を続けてきて、思うことをお聞かせください。
自身の経験や感性が活きる仕事
オンラインで完結する講師の仕事は、育児や介護をしながらのすきま時間にできますので、ライフステージの変化に合わせて仕事がしたいという女性にも向いていると思います。 日本語講師は、教える側の人生経験が活きる仕事なんです。例えば、育児の経験があれば、子どもに教える際に、年齢に合わせた接し方の感覚が役に立ちます。日本語を話せる人なら誰にでもできるというものではなく、経験を重ねて幅広い見識や教養がある方がより良い講師になれるのではないでしょうか。
また、アニメやマンガ、ゲーム、J-POPなどのサブカルチャーに詳しい方や、あまり詳しくなくても文化に興味を持ち、柔軟に対応できる方は向いていると思います。日本文化の魅力を理解し、それを学習者に伝える力が求められますから。自身の感性が活きる仕事でもあります。
語学のキャリアに関して言えば、英語が得意だったり、留学経験のある方って多いですよね。しかしながら、せっかく学んだ英語を活かすことなく暮らしている方も多いと思います。語学は使わなければ錆びていきます。せっかく学んだ英語ですから、英語でコミュニケーションをとりながら日本語を教えるといった活かし方をするのもいいですよ。パラレルキャリアの一つとして、会社員をしながら、夜間や土日に講師をしている方もたくさんいらっしゃいます。
最初に日本語講師の質の問題をお話ししましたが、志のある方にとってはとてもやりがいのある仕事です。興味があれば、ぜひ新しい扉を開けてみてください。ただし、詐欺には十分気をつけて!

マイフィロソフィ
『No venture, No gain. -冒険なくして得るものなし-』
『If you do nothing , nothing happens. -何もしなければ、何も起こらない-』
1日のスケジュール
07:40
起床
朝ドラ鑑賞、ラジオで中国語のレッスンなど
09:00
オンラインでレッスン開始
13:00
昼休み
昼食(レッスンスケジュールによってはスキップ)
週に1〜2回、自分のレッスンの合間に英語または中国語のレッスンを受ける
20:00
夕食
21:30
ヨーロッパ圏の方々へのレッスン
日本語講師へのサポート講座
レッスンのフィードバック、翌日のレッスン準備
01:30
就寝
現在は週に5日、週休2日制でレッスンをしていますが、レッスンの時間割りやその他のタスクは日々違います。趣味は、映画や海外ドラマを観ること。以前はあまり観なかったアニメも、最近は学習者さんの影響でドハマリして観ています。














































































