小さな声に耳をかたむけ〝その人らしく生きる〟をサポート

目次
—現在のお仕事に就こうと思ったきっかけは?
〝今を生きる〟ためのサポートを
もともとは、看護師になりたいと考えていました。しかし、進路について深く考えるうちに、病気の治療をサポートするよりも、〝今を生きる〟ためのサポートの方が自分には合っていると思い、介護福祉士の資格が取れる学校に進学し、卒業後は特別養護老人ホームに勤務しました。
当時は、ちょうど介護保険制度がスタートしたばかりで、介護の専門職が資格を有した「介護福祉士」になってまだ間もない頃です。先輩からノウハウを学ぶというよりは、学校で学んだことをもとに、現場で試行錯誤しながら大切なことを身につけてきました。
在職中に結婚し、出産後は育児休暇を取得したこともあります。
当時はまだ今ほど育休が普及しておらず、取得しづらい雰囲気がありましたが、私が前例となることで職場の雰囲気が変わると考え、思い切って申請しました。
その後、子どもを保育園に預けながら仕事に復帰し、育児とのバランスを考えながら働いてきました。
株式会社土屋に入社したのは3年ほど前です。設立されたばかりの会社で、介護職の働き方や社会課題に取り組む姿勢に共感し、ここでなら幅広く多くのことに挑戦できそうだと入社を決めました。仕事に対する思いや希望をしっかり聞いて、うなずいてくれる姿勢にも安心感があります。
—現在、「重度訪問介護」を担当されています。仕事をする上でのモットーは?
小さな声に耳を傾ける
とにかくコミュニケーションをよく取り、信頼関係を築くことを心がけています。シンプルではありますが、たくさん話をすることで雰囲気が良くなり、ご家族との連携もスムーズになります。
〝小さな声に耳を傾ける〟こと、〝その人らしく生きる〟をサポートすることは、会社が掲げる理念でもあり、私自身目指すところでもあります。
私は高齢者介護から重度訪問介護に移ったわけですが、両者で違うのは、重度訪問介護は担当する方の年齢の幅が広いことです。現在、下は2歳のお子さんから上は90歳の方までを担当しています。
小さなお子さんについては、ご本人だけでなく、お母さんもお父さんも助けてあげたいという思いがありますね。ご家族が仕事に集中できるように。少しの時間でもほっと休めるように。
また、20代、30代のクライアントさんについても、これまで大切に育ててこられたご家族の気持ちを尊重しながら介護にあたっています。

—仕事にやりがいを感じた印象的なエピソードを教えてください
ご家族からの声かけがうれしくて
以前勤めていた高齢者施設での経験ですが、長く認知症を患っていた利用者さんが亡くなったとき、スタッフ全員で歌いながら送り出した時のことです。その方は晩年、認知症特有の症状でトラブルを起こしてしまうことがあり、その度に息子さんが「申し訳ない」と謝りに来ておられました。
そんな姿を見て、ご家族の気持ちの負担を和らげるためにも、トラブルをトラブルのままで終わらせず、笑って終わらせることが大切だと思い始めたんです。
歌うのが好きで、特に民謡をよく歌っていた利用者さんのために、最後は明るく送り出したいという思いで、スタッフ全員で館内に響くほどの大きな声で『炭坑節』を歌って送り出しました。
翌日、息子さんが再び来られて、「佐藤さんに担当していただいて、本当によかったです」と声をかけていただきました。その言葉が何よりもうれしく、また、心がけたことが間違っていなかったのだと自信にもつながりました。
朗らかに接することや、場の空気を明るくすることは、今でも仕事をする上で大切にしています。
—ご家庭では4人のお子さんのママでもあります。家庭と仕事の両立のために工夫していることは?
移動時間に家族とコミュニケーション
工夫というほどではないのですが、前の晩からお弁当の仕込みをしたり、仕事の移動時間を有効に活用するようにしています。お弁当はしっかり作らないと、子ども達が不機嫌になってしまいますので(笑)。学校の購買部でも買えるのですが、少し出遅れると目当てのものが売り切れて買えないこともあるようで。
また、日によっては現場への移動時間が長いことがありますが、その間は電車に揺られながら好きなドラマを観たり、家族とメッセージを送り合ったりと、意外と使える時間なんですよ。
元気でいるために睡眠時間もしっかり確保したいので、そのために朝はギリギリまで寝ていますし(笑)、その分、洗濯機を回しながらお弁当を詰めたり、歯磨きしながら子どもたちを起こしたりと(笑)、そうやって時間を有効に使うのも工夫といえば工夫でしょうか。
子どもたちと接する上では、やはりコミュニケーションを大切にしており、時間を見つけては一人ひとりに話しかけるようにしています。そうすると、「これ聞いて! こんなことがあったんだけど…」と、日々の出来事をたくさん話してくれるんですよ。
休日にはクラブ活動の送迎や、一緒に習い事もしていて、以前は長男・長女と少林寺拳法を習っていました。今は、末っ子と茶道を習っています。子どもと一緒に学ぶ時間が楽しみでもあり、充実した家族時間にもつながっていると思います。

—仕事を続けてきて思うことは?
キャリアが無駄になることはない
来年には一番下の子も中学生になるので、子どもたちも段々と親の手を離れる年頃になってきました。出産と育児で仕事を離れた時期もありますが、今、会社で責任あるポジションを任せていただいており、日々やりがいを持って仕事に取り組んでいます。
ブランクを経て復職する方も多くいますし、介護の仕事は、一時期仕事を離れても重ねてきたキャリアが無駄になることはないと感じています。
また、会社では研修制度が整っているので、他業種から転職してきたスタッフもたくさん活躍しています。それぞれのスキルやその方の感性、人生経験が力になる仕事でもあるのだと思います。
担当したクライアントさんやご家族の笑顔を見ると私もうれしくなりますし、これからも、常にチャレンジする心を持って経験を積み重ね、小さな声を拾い続けていきたいと思っています。
マイフィロソフィ
・温厚篤実
1日のスケジュール
06:00
起床
身支度、お弁当を詰める
子どもたちを起こす
07:00
仕事場へ出発
09:00
訪問介護の仕事開始
18:00
仕事終了で帰途へ
家族とメッセージのやりとり等
20:00
帰宅
入浴、お弁当の準備など家事
01:00
就寝
スケジュールはその日の仕事内容によって違います。少し時間に余裕がある時は、(家族には内緒にしているのですが)行きつけの韓国料理屋さんで少しお酒を飲むことも。ほんの30分ほどですが、仕事も家庭も離れた自分だけの時間を持ってリフレッシュしています。