得意を生かした地方での仕事 “複業”で自分らしく働く

秘書業務や事務職に就いたのち、結婚、離婚を経験。離婚を機にオーストラリアへ語学留学。現地でウェディングプランナーのアシスタント業を経て2000年に帰国後、都内で高齢者支援の仕事に従事する。2023年に山形県酒田市に移住。
佐藤理美(さとうりみ)さん
事務職のパートタイム勤務のかたわら、2016年からハンドメイド作家として活動。2021年に第二子を出産した後に作家活動を休止。現在はパート職員・家事・育児の傍らITについて学びつつ、副業としてSNS運用代行の仕事も行う。
目次
—お二人とも山形県酒田市の在住です。現在、どのような仕事をされていますか?
自身のスキルを活かして副業も
藤田さん:
私は2023年にこの酒田市へ移住してきました。
現在は、地域で採れた野菜や果物の選果の仕事を週2~3日行いつつ、SNS教室の講師補佐の仕事などをしています。
もともと役員秘書や事務、旅行関連のサービス業を経て、その後は長く高齢者支援の仕事をしてきました。SNS教室では、高齢者の方にスマホやパソコンの使い方を教えていますので、そこでは自分のスキルを活かすことができています。
佐藤さん:
私は現在、パートタイムで事務職をしながら、副業としてSNS運用の代行業を行っています。第二子を出産する前まではハンドメイド作家としての活動もしていました。スマホケースやヘアアクセサリーの製作とオンラインショップの運営、百貨店等での委託販売などです。
作品撮影から画像加工、SNSでの集客まですべて行っていましたが、ハンドメイド作家の仕事は作業工程も多く、製作に時間もかかるため、二人目の子どもを出産して以降は仕事と家庭との両立が難しくなってしまいました。現在作家活動は休業していますが、大好きな仕事なので、子育てが落ち着いたらまた始めたいと考えているところです。
—藤田さんは熟年世代になってからの移住です。決断のきっかけは?
人生後半は、ワクワクすることを
藤田さん:
会社員生活に終止符を打った2017年頃から本格的に移住を考え始めました。人生後半となったこれからは、これまでの経験を活かして、自分ができることやワクワクすることで生計を立てていきたいと思ったんです。
生まれも育ちも東京なので、以前から地方への憧れが強かったことも理由の一つですね。気力、体力があるうちに地方都市へ移住し、いろいろなことにチャレンジしてみたいと思い、移住セミナーやイベントに参加していました。
酒田市へも移住前に3回ほど訪れたんです。移住者を温かく受け入れてくれる風土を肌で感じたことで移住を決めました。

—佐藤さんは、副業でS N S運用の代行業をされています。
目指すのは〝マルチワーカー〟
佐藤さん:
SNS運用代行を始めたきっかけは、これまでハンドメイド作家として培ってきたITスキルを活かしながら、在宅でも出来る仕事をしたいと考えたことからです。酒田市が主催するITスキル講座にも参加し、それが今のライフスタイルにつながっています。
何かを生み出す、クリエイティブな作業が好きなので、やりがいを感じながら楽しく働くことができています。
また、オンラインでの仕事は、場所に捉われずに自由に働けることが魅力です。子どもの急なお迎えにも対応しやすいですし、自分の調整次第で誰にも迷惑をかけることなく保育園の行事などにも参加できます。地方にいながら東京の人と仕事ができるというのも新しくて面白い感覚です。将来的にはもっとITスキルを磨いて、場所や時間にとらわれずに複数の仕事をこなす〝マルチワーカー〟を目指しています。

—お二人とも、仕事のキーワードは副業ならぬ〝複業〟ですね。
〝好き〟を活かした仕事が理想
藤田さん:
私も同じく、目指すのは〝マルチワーカー〟の働き方です。仕事を選択する上で大事にしていることは、稼ぐことよりも「楽しくワクワクすること・やりたいことを優先すること」です。
私は、知り合いも親戚もいない酒田市に移住しましたが、今ではこの土地に導かれたように感じています。なぜなら、日中は農業をしているけれどある時には司会業をしているというような、私の目指すマルチワーカーがまわりに多くいるからです。
まさに私が理想とする働き方であり、勇気と刺激をもらっています。
佐藤さん:
私は3人の子育てと家事をしているため、自分の副業に没頭できる時間がストレスの発散にもつながり、そこはバランスよく過ごせていると感じています。
一方で、現在のパートタイムの仕事は、通勤に片道45分かかるので少し負担を感じていて、近い将来、子どもたちともっと向き合えるように、在宅での仕事をメインにできたらいいなと考えています。
ITというと難しいイメージがありますが、一番身近な存在であり、需要がある職種だと思うんです。学び続けて仕事を獲得し、また、大好きなハンドメイド作家の仕事も再開して、自分の理想的な働き方ができるといいですね。

—お二人とも柔軟な考えで仕事に取り組まれています。これからの計画は?
ライフステージに合わせた働き方を
藤田さん :
これまでの人生、自身の生活や仕事において、ライフステージに応じた環境の変化を数多く経験してきました。だからこそ、行動できるときに、できることをやっていきたいと思っています。
具体的には、この地で在宅介護の仕事を再開したり、また、興味のある農業に関わる仕事を増やしたり。移住後に知り合った仲間と、地域で必要とされる困りごとを解決していくビジネスの立ち上げも計画中なんです。
また、移住を決意してから、50歳以上の女性向けWebマガジンにコラムを月2本掲載しています。これまでは、移住に向けて取り組んだ断捨離や、移住先の下見の様子について発信してきました。現在は、移住後の暮らしについて発信しています。 同年代の方がこのような生き方の選択もあるのだと、興味を持ってもらえたら嬉しいですね。
佐藤さんのお話を聞いて、佐藤さんのチャレンジは子育て中の女性にとても参考になると思いました。ハンドメイド作家のお仕事に再挑戦されることを聞き、私も趣味で作っているお香の販売に挑戦してみたくなりました。
佐藤さん :
藤田さんの、新しい場所で新しい挑戦を続ける姿がとても素敵だなと思いました!私も出産や子育てなどでライフステージが変わり、その都度暮らし方も変化していくことを実感しています。
私自身、出産を機に自分中心の考え方から子ども中心の考え方に変わり、働き方についても悩んだ時期があるのでとても興味深くお話を聞きました。
目指す仕事がある程度軌道に乗ったら、私のように育児中でも時間や場所に縛られず自由に働きたい人に向けて、道を見つけるお手伝いが出来る存在になりたいと考えています。そして、子どもたちにも頑張る母の姿を見せ、良い刺激を与えることができればいいなと思います。
マイフィロソフィ
・藤田篤子さん:時間は有限、もっと自分に忠実にあれ!
・佐藤理美さん:とりあえずやってみる。だいたいなんとかなる精神。
藤田さんの1日のスケジュール
東京で暮らしていた時より早起きの習慣が身に付き、毎朝鳥海山を眺めるのが楽しみに。
05:00
起床
鳥海山を見ながら白湯を飲む・ストレッチ・読書
06:30
朝食
家事・ブログ更新
08:00
仕事
18:00
帰宅
19:00
夕食
20:00
フリータイム
ハンドメイド試作品づくりや朝食下準備・就寝前に日記をつける
22:30
就寝
佐藤さんの1日のスケジュール
副業や好きな作業をする時間がリフレッシュになっています。
05:00
起床
副業の作業
06:00
家事・育児
07:30
自宅を出発
12:00
昼休み
スマホで副業の作業
16:30
帰宅
家事・育児
20:30
子どもたち就寝
21:00
フリータイム
副業の作業や好きなことをする自分の時間
23:30
就寝