想定外!美容室のオープンと母親業を同時にスタート やれば何とかなるものです

目次
—美容室をオープンされたきっかけは?
結婚を機に、自分で経営してみようと
学校を卒業してから今まで、ずっと美容師として仕事をしてきました。自分のお店をオープンする前は、個人経営のお店から派遣、大手の美容室チェーンまで、さまざまな形態の美容室で仕事を経験しました。
大手の美容室に勤務していた時、ありがたいことに成績を評価していただき、マネージャー職に就いていたことがあります。ところが、これがなかなか難しくて、よくある上と下の板挟み状態になってしまいました。
私の場合、分業制の大きな組織の中で働くよりも、施術のすべてを自分で担当できる小規模店の方が性に合っていることがよくわかりました。これでは大好きな仕事がつらくなってしまうと思い悩んでいたところ、夫が「自分でやってみたら?」と言うので、そうか、その手があると思い、戸惑いはあったものの「とりあえずやってみよう!」と物件を探し始めました。
—オープンまではスムーズに運びましたか?
店舗の契約をした翌日に妊娠が分かり…
ある古民家風の物件に縁があり契約を済ませたのですが、なんと、その翌日に第一子の妊娠がわかったんです。想定外のタイミングだったので焦りましたが、もう契約は済んでいます。これはもう、やるしかないと前に進む決意をしました。
妊娠中に少しずつ準備をし、出産後約半年でお店をオープン。お店は古民家風の佇まいに合わせて『髪結い処 櫟(いちい)』と和風の名前にしました。
多忙な毎日でしたが、家族をはじめ、保育園の先生やまわりの方々のサポートのおかげで、育児もお店も続けることができています。

—伝統の日本髪について学ぶ講座も開催されています
自分の技術や知識が役に立つことを積極的に
美容師として働く中で、日本髪をはじめとした伝統文化にも興味を持ち、過去には日本髪のコンテストに出場したこともありました。構えたお店の名前を〝髪結い処〟としたためか、和装に合う髪を結ってくださいという依頼もいただき、それに応えるうちに、日本髪に関するお仕事の話をいただくようになったんです。
昨年は、海外からの留学生に日本髪の文化を教える仕事もしました。日本の素晴らしい文化を紹介する活動はやりがいがありますし、長く続けていきたいですね。
自分のお店を持ってから、美容師の仕事の他にも、講師のお仕事など、幅広く依頼をいただくことが増えました。また、自分で興味を持ったことに対しては、積極的に動くようにしています。例えば、医療美容師としてヘアドネーション*の活動に力を入れたり、高齢者施設や医療施設に訪問美容に行ったり。自分の技術や知識が役に立つことは積極的にやりたいと思っています。
*ヘアドネーション=医療用ウィッグのための髪を寄付すること。

—仕事をする上で大切にしていることはなんですか?
「とりあえずやる」をやってみる
お店のスタッフにもよく言うのですが、何ごとも「とりあえずやってみよう」と言う気持ちは大切だと思います。「自信がない」と思う方もいるかもしれませんが、やらないと自信はつかないし、やってみないと、自分は何ができて何ができないのか課題も見えてこない。考え出したら、不安な要素っていくつも思いつくものなんです。前に進んでみたら、そこで見える景色も変わりますから。
—独立を考えている方にアドバイスを
さまざまな働き方ができる時代
美容師の仕事も、昔と違って働き方の選択肢が増えたと思います。例えば、美容室の一席だけを時間貸ししているシェアサロンというシステムがあります。いきなりお店を持つのは勇気がいるし、資金も必要ですが、このようなシステムを利用してフリーランスとして始めるのもいいですよね。今はSNSも活用できますし、まずは小さく初めてみるのもありだと思います。

マイフィロソフィ
・継続は力なり
・目の前のことに一生懸命取り組む
1日のスケジュール
06:00
起床
身支度・朝食の準備
07:00
朝食
後片付け、洗濯機を回す
07:40
子どもをバス停まで送る
08:00
洗濯物を干す
08:20
美容室に出勤
17:00
美容室閉店
17:30
子どもをバス停まで迎えに
18:00
夕食の支度
19:00
夕食
子どもの宿題をみる、お風呂、読書など
22:00
就寝
現在、2店舗を経営しているので、私自身の休みは週に1日です。休日は、子どもと一緒に映画館に出かけたり、友人とお茶の時間を過ごしたりします。